ロシア・ シホテアリン世界遺産地域との交流(2012年~)
なぜシホテアリン?
シホテアリン自然保護区の名前は知らなくても、黒澤明監督が映画化したロシア文豪アルセーニエフの探検小説「デルス・ウザーラ」ならご存じの方も多いのではないでしょうか?
この小説の舞台となったのが、ロシア連邦東部、沿海地方に広がるシホテアリン自然保護区です。この自然保護区は、実は知床から最も近い海外の世界自然遺産でもあります。一番近いだけでなく、ヒグマやシマフクロウが生息するなど知床との共通点も多く、両者が交流の場を持つことで、生物の進化の歴史の解明や絶滅危惧種の保全に向けた新たな取り組みが始まることが期待されています。私たちは知床博物館などと共同で、知床とシホテアリンの交流事業を進めています。
シホテアリンってどんなところ?
シホテアリン自然保護区は、広さ約40 万ヘクタール(知床国立公園の約7 倍)で、知床でもおなじみのヒグマやシカがいる一方で、日本では既に絶滅してしまったカワウソやオオカミのほか、日本にはもともといないアムールトラなども生息しています。鳥類350 種、植物が約2000 種、哺乳類は72 種など、多くの生き物の貴重な生息地になっています。
これまでの交流
2012 年9 月にアサヒビール株式会社からのご寄附を受け、この自然保護区を束ねるアナトリー・アスタフィエフ所長を知床にお招きしました(共催:斜里町立知床博物館)。2 泊3 日という短い滞在ではありましたが、知床とシホテアリンの今後の交流について協議したほか、知床世界遺産センター(斜里町ウトロ地区)において講演会も開催しました。講演会には定員を超える方が来場され、多彩な生物相と豊かな自然環境を紹介するプレゼンテーションを楽しみました。今後も調査研究をはじめ様々な分野で交流・連携を進めていく予定です。
上左:知床でフィールド視察するアスタフィエフ所長
上右:知床世界遺産センターでの講演会の様子