知床フィールド講座 「エゾシカの生態」~繁殖期の賑わい~
実施日:2006年11月4日(土)
高らかに響く鳴き声、角のぶつかりあう音、黒く変化した
毛・・・。繁殖期を迎えたエゾシカ達は盛り上がっていま
す!秋の彼らの営みを、見て、聴いて、嗅いで、じっくり
と観察しました。
まずは1時間の座学。
角研ぎやヌタ場、受胎から出産についてなど、繁殖期のエゾシカの特徴や習性をわかりやすく解説。
3名の参加者もふむふむと真剣に聞き入っています。
知識を得たら、次は実際にエゾシカを観察しにフィールドへ出発!
葉が落ちて見通しのよくなった原生林内を進む。
すると、さっそく直径1m弱程度の地面を掘り返した後が。
「これはヌタ場ですね。最近のものではないようですが。」
さらに林を進むと、今度は痛々しく樹皮が削られたトドマツを発見。シカが角を研いだ痕だ。
ヌタ場の状態や角研ぎの痕から、エゾシカがどのように移動していったかを推測し、
姿の見えないエゾシカに思いを馳せる参加者達。
その後もヌタ場は見つかるが、肝心のシカ本体の姿が見えない。鳴き声も聞こえない。
繁殖期過ぎちゃったのかな・・・という不安がよぎる中、場所を移動。
移動してすぐにオス・メス両方を発見!
じりじりとオスジカに近寄ってみる。あ、何かにおう!これが繁殖期のオスのにおいか~と一同感心。
車に戻る道すがら「あのオスはメスにアタックするのかな。」「あのオスじゃさっきのオスにかなわないでしょ~。」
などと談笑しながら、シカのドラマが頭の中で繰り広げられている様子でした。
陽が落ちてからは車の中からラッティングコールに耳を澄ます計画。
昼間は聴けなかった分、夜はオスジカの美しい声を聴くことができました。
ん?なにやら別の音も・・・あ、オスジカの決闘現場発見!激しく角をぶつけ合う貴重な場面に
参加者一同大満足のようでした。
ここからは番外編。プログラムとは別の打ち上げもありました!
視覚、聴覚、嗅覚を駆使した観察会の締めくくりは、味覚。キャンプ場に移動し、満月とラッティングコールを楽しみながらという贅沢な環境でのバーベキューになりました。
エゾシカの生態を五感で感じ、動物と自然の関係や、数の増加の問題などを考えるきっかけにもなったのではないでしょうか。(担当:川村)