しれとこ100平方メートル運動30周年記念事業シンポジウム
実施日:2007年3月17日
1977年2月に国立公園内の開拓跡地の保全を目的に、「知床で夢を買いませんか」と全国に呼びかけた、しれとこ100平方メートル運動は、保全された土地に本格的な森林再生を進める「100平方メートル運動の森・トラスト」へと1997年に引き継がれ、今年の2月で30周年を迎えました。
この節目に、ナショナル・トラスト運動、世界自然遺産登録などに対してこの運動が果たしてきた役割を振り返るとともに、これからの課題や方向性を探るシンポジウムが、斜里町・ゆめホール知床で開催されました。約220名の参加者を集めたこの記念すべき集いで、当財団からは熊本、片山が発表を行いました。
「小さなまちの大きな挑戦。しれとこ100平方メートル運動の30年」と題して行われたこのシンポジウム、午前中は、しれとこ100平方メートル運動地を森の番人と散策するエクスカーションが斜里町ウトロで開催され、10名の参加者が集まりました。スノーシューを履き、二時間に及ぶ運動地散策は、森の番人の話と共に参加者に運動の歴史についてじっくりと考えるきっかけになったようです。
その後、斜里町公民館ゆめホール知床に会場を移し、記念行事が行われました。
元朝日新聞論説委員の辰濃和男氏を講師に、第一部は「小さなまちの大きな挑戦 しれとこ100平方メートル運動の30年」と題し、(社)日本ナショナル・トラスト協会名誉会長の木原氏の司会進行により行われました。パネラーとして運動推進関東支部長の木内氏、関西支部代表の笠岡氏、運動推進本部副会長の山崎氏、斜里町助役の関根氏によって当運動の歴史が活発に語られ、多くの参加者は熱心に聞き入っていました。
そして、第二部は「100平方メートル運動の未来に向けて」と題し、斜里町長の司会進行により、斜里高校教諭の植木氏が地元で全生徒を対象に運動地での自然体験学習プログラムを導入した経緯と知床自然教室について語り、自然教室参加者代表の大井さん、近藤さんもそれぞれ自然教室について各人の想いを発表しました。
また、当財団からは、現地業務を担う熊本から、運動の開始から30年が経過した今、「運動地では何が行われているのか」について報告し、当運動の事業の一環として行われている知床自然教室に長く関わってきた片山からは「知床自然教室の現在と今後」について地元出身者の視点で語りました。今回の発表は、実際に業務を担当している私たちの活動を多くの方々に知ってもらう良い機会となり、また会場からも多くの反応をいただき、今後の大きな励みとなりました。
その後、和やかな雰囲気の中、交流会が催されました。知床に熱い想いを寄せる方々が全国各地から一同に勢揃いといった感じで、会話が弾んだのは言うまでもありません。
会場には写真家・栂嶺レイ氏による「知床開拓スピリット~岩尾別・幌別の村に生きた人々」と題する写真展が同時開催され、多くの来場者は開拓時代の貴重な写真の数々に見入っていました。また、当財団スタッフが作成した知床自然教室展示も行われました。
老若男女が集まり、100平方メートル運動を通して一同に知床の未来について語り合う・・・・・、なんとも素敵な時間でした。先人たちの苦労や努力があって、熱い想いが脈々と繋がり合っているからこそ、今こうして私たちはその恩恵を受けておもう存分に活動できているのだなあとしみじみ実感した一日でした。これからを担う私たちは、しっかりとその想いを引き継ぎたい、繋ぎたいと思います。
(担当:片山)