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知床フィールド講座「流氷の海の生き物たち」アザラシ、トド、オオワシ  in羅臼!

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実施日:2007年3月3日
知床半島はその中央に1600m級の高山を持ち、その両側の自然は時にまったく違う表情を見せる。楽しくてためになる1日を提供しよう!と続けてきたフィールド講座シリーズは今まで主にオホーツク海側の斜里での開催でしたが、今回は根室海峡側の羅臼で初めての実施です。2つの海の典型的な違いは流氷の付き方? オオワシの多さ? それとも町民気質?


講師の坂部皆子氏は、オオワシの研究をキッカケに羅臼に定住し、漁師との宴会からヒグマ対策までこなす羅臼ビジターセンターの女将。ワシのこと、生態系のこと、人の暮らしについて、的確に解説してくれた。
羅臼ビジターセンターに集合後、まずは1時間半ほど流氷の海の生き物についてレクチャー。
オオワシやオジロワシの「違い」を、1年の暮らし方、生息域の地図、飛び方、形などで見分ける方法等を通じて、とてもわかりやすく解説。今聞いた識別方法を、すぐさま外に出て試したい気分が盛り上がる。さすが専門家。
トド、アザラシについても、なんとなく似通ったイメージの両者を、実はずいぶん違う生き物であることを、時に学術的に、時に「トドはクマっぽいが、アザラシは魚っぽい」なんてイメージで語りかける。
ワシやアザラシの暮らしぶりを知って、ちょっと彼らへの愛情が芽生えた所で、いざフィールドへ。
車でポイントへ移動しては、フィールドスコープや双眼鏡で観察する。移動中の車の上をオオワシが舞う。道路脇には、ワシが十数羽も止まらせた「ワシの成る木」状態の木がある。全世界で2000羽程度といわれる絶滅危惧種なのに、ここでは、カラスよりも多いのでは?
 (実際、体の大きいオオワシが渡ってくるこの時期、カラスは減りませんがトビなどは追われて少なくなるそうです)
レクチャーで学んだ識別方法は極めて実戦的。「あれはオジロの幼鳥、それはオオワシ6歳以上」など、スコープ片手に参加者同士でも確認しあう。ノスリや、カラスとの2ショットをスコープの中に収め、大きさの違いを確認できるお得なシーンもあった。
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例年なら流氷の上で寝そべるアザラシが観察されるはずが、今年は記録的な暖冬。羅臼側に流氷が接岸したのはこの日までで2日のみ。この日も対岸の国後島まで広々とした海面が続いている状態。それでも、アザラシたちが海面から顔を出すのを、3箇所から、のべ10数頭観察できた。
流氷が無いことで、写真の構図としても、動物を見つけるためにも、あまりいい条件ではなかったが、そんな中で生き物を探すには、彼らの暮らしに対する理解や想像力がカギになることを学んだような気がする。
「オオワシを探す時は、オオワシを見つける目になる。アザラシを見つけるときは、アザラシを見つける目になる」 講師のそんな言葉にリアリティを感じる一日であった。

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