2007ボランティア・プロローグ実施報告
実施日:2007年5月12日~13日
知床のボランティア活動を知り体験するプログラム「ボランティア・プロローグ」を1泊2日の日程で行いました。全国各地から8名の方が集結し、ボランティア活動や知床の自然を知るだけでなく、今知床で抱えている様々な課題に触れ感じる二日間を過ごしました。
知床観光の中心地「知床五湖」から、森づくり作業の現場から、そして宿舎での夜の食卓から、いろいろな場面で、それぞれの皆さんが、これまでと違った角度から知床を考える時間を過ごしたことと思います。
二日目のボランティア作業では、少し背の高くなった苗木を支えるための支柱があっという間に完成しました。立てた柱の数だけでも30数本、ボランティアの皆さんの力にはいつも感謝しています。このプロローグを始まりとしてまた知床に、お待ちしています。
活動内容:
■初日:森歩き
「知床」とひとくちに言っても、ここには様々な場所があり、人それぞれの思いや捉え方があるのではと思います。そこで午前中は、知床でもっとも人が訪れる場所のひとつである知床五湖を、そして午後からはボランティア活動でも深く関わる森づくり作業(斜里町主催「100平方メートル運動の森・トラスト」)の現場を「人と自然」をテーマに歩きました。
「昨年、この知床五湖の遊歩道を訪れた人が多かった日の人数は何人?」「森づくり作業で樹皮保護した(樹皮保護ネットなどが巻いてある)木は何本?」など、知床財団や環境省のデータを基にしたクイズをその場所場所で考えながらの道中です。
宿舎に戻ってからは、テーマに基づいたディスカッションゲーム、夕食のジンギスカンの用意、そして知床財団スタッフも交えた懇親会を行いました。懇親会が終わってからも話のネタは尽きることなく続いていきました。
■二日目:森づくり作業
いよいよボランティア活動本番です。この日は森づくり作業を行いました。現在広葉樹の苗を生産している畑の中で、大きく育った木の苗を支えるための支柱を作りました。穴を掘り、柱を立て、横木を渡し、針金で結束する、スタッフ数人の手だけでは何時間もかかってしまう作業ですが、ボランティアの皆さんのご協力で午前中の2時間ほどで終えることができました。
ボランティア活動にはノルマもゴールもありません。ただ、例えば自分たちの立てた支柱が支える木々を、この秋でも、来年でも、もっと先でもまたいつか見にきてください。それらの木々はいずれしっかりと大地に根付き、知床の森の一部となることでしょう。それをいっしょに見守っていただければ、実際に現場に来られなくてもたまにでも思い出していただくことがあれば、そんな知床と皆さんをつなぐきっかけがこのボランティア活動であればと思っています。
ボランティアさんからひとこと:
・宿舎での夜のディスカッションは、非常に刺激的でした。全国各地から集った人々がそれぞれの立場で、知床を愛していることがよく分かりました。(K・Mさん 男性 30代 根室市)
・ボランティアプロローグに参加して、森の復元がいかにたいへんか、地元の経済発展にどうつなげていけばよいか等、数多くの問題点などが良く分かりました。(K・Hさん 男性 60代 札幌市)
・現在の知床を守るためには一人一人の協力がいると思う。(I・Hさん 男性 40代 斜里町)
・ボランティアに関わることで、風景もひろがりをもったようにみえた。見えないところで努力をしている人たちがいるのを知った。今度は夏に羅臼岳に登りたい。(S・Tさん 女性 20代 千葉県)
・知床は”帰れる場所”。また来たいと思います。(O・Tさん 男性 20代 千葉県)
・今回はボランティアで初めて五湖へ行き、春の知床も見て感じることが出来ました。一度、切り開かれた土地を森にもどすのは、大変な作業だと感じました。(O・Mさん 女性 20代 大阪府)
・今回は2度目の参加。前回から一年たった今、ボランティアに参加したことで知り合った友達がたくさん。これからも皆で一緒に知床が良くなるようにファイトしていきたいです。(I・Hさん 女性 20代 別海町)
・観光では訪れることのない場所に行けて楽しかったです。でもクマがいつ出るかと常に緊張気味。ボランティア活動の中では普段体験することができない達成感がありました。(M・Sさん 女性 20代 千葉県)
・知床は生きものの息吹、自然の強大さともろさを肌で感じます。森や自然を守るってどういうことなのか取り組んでいる人と接してみることで実感できました。(M・Yさん 男性 30代 千葉県)