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北大と当財団の共同調査で新種の魚が見つかりました

2007年より北海道大学大学院水産科学研究院と当財団の独自事業として進めてきました魚類調査によって未記載種が見つかり、このたび学術誌「国立科学博物館研究報告」へ新種として掲載されました。

タマコンニャクウオ写真.JPG


この新種、タマコンニャクウオは、羅臼漁港沖の水深356mから汲み上げられている深層水のフィルター内から見つかりました。2007年に汲み上げ施設のフィルターには、深層性魚類(深海魚)をはじめとする様々な貴重な生物が入っていることがわかり、施設の管理をしている羅臼町と羅臼漁業協同組合の方々の惜しみないご協力のもとに標本を収集していただきました。

羅臼港.jpg
深層水の汲み上げの仕組み(羅臼漁協HPより引用) 

その後、北海道大学大学院水産科学研究院の海洋生物学講座魚類体系学教室とともに研究を進めて
きました。第一著者の町さんは、院生時代に何度も函館から知床に通って標本の収集や分類(仕分け)をしました。そしてお世話になった地元の皆様への感謝の気持ちを込め、学名には「ラウス」という言葉を入れてCareproctus rausuensis (カレプロクタス ラウスエンシス)としたとのことです。執筆者の矢部 衞先生は、日本魚類学会の副会長で、カジカの仲間がご専門です。知床へは魚類調査で度々訪問されています。

地元と研究機関、そして両者を繋ぐ知床財団あっての素晴らしい成果としてこの度の新種の記載となりました。

知床沿岸の深海には、たくさんの種類のクサウオ科の魚がいます。実はまだまだ、日本国内で見つかっておらず、和名のない日本初記録種や未記載種(新種であろう種)が・・・。今後もさまざまな調査研究を重ね、知られざる知床の海の姿を明らかにしていきます。ご期待ください!
調査風景.jpg

魚類の調査研究中の野別(写真右)

●タマコンニャクウオについて

クサウオ科コンニャクウオ属の仲間で、体の形は「おたまじゃくし」のように頭が丸く大きく、尾ビレに向かって細くなっています。この頭の大きさが大きな特徴です。コンニャクウオ属の魚の特徴でもある吸盤が腹部にありますが小さく、退化的です。体のサイズは大きいもので16㎝くらいです。体の表面はゼリー質でぷるんとしていますが、体は筋肉質です。体が曲がったままホルマリン溶液(保存液)に入れてしまうと、もう2度とはまっすぐにならないほどです。

●掲載された論文について

著者: Keisuke Machi1, Takahiro Nobetsu2 and Mamoru Yabe3(町 敬介・野別貴博・矢部 衞)
タイトル: Careproctus rausuensis, a New Liparid Fish (Percomorphacea: Cottiformes), Collected from Hokkaido, Japan(北海道で採集されたクサウオ科の新種、タマコンニャクウオ)
掲載誌: Bulletin of the National Museum of Nature and Science,(国立科学博物館研究報告)
掲載年月日: 2012年3月30日

1、富山県農林水産総合技術センター水産研究所 研究員(元 北海道大学大学院水産科学研究院 大学院生)
2、公益財団法人 知床財団 研究員
3、北海道大学大学院水産科学研究院 教授

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