インターン活動中!ヒグマを眠らせるためのダートづくり
8月中旬から勤務しています、インターンの中島です。
今日は野生動物の調査に関わる業務の中から、“ヒグマを眠らせるための注射器(ダート)づくり”についてご紹介したいと思います。
知床財団では、オリで生け捕りしたヒグマに首輪や耳タグを装着してヒグマの行動を追跡する調査を行っています。首輪や耳タグを装着するためには、オリで生け捕りにしたヒグマを麻酔で眠らせる必要があります。さまざまな方法がありますが、知床ではヒグマに麻酔をかける際に吹き矢を使用します。
吹き筒という細長い筒に薬剤を入れたダートを込めて、筒の片側から息を吹き入れて、その空気圧を使ってヒグマにむけてダートを勢いよく飛ばします。ヒグマにダートが命中すると、ダート内の薬剤がヒグマの体内に注入される仕組みです。
市販のダートもありますが、知床では安価で使い勝手の良い手作りのオリジナルダートを使用しています。ダートを作成するのに特別な道具は必要ありません。材料は注射筒と注射針、虫ピン、毛糸です(有名な某獣医漫画にも作り方が紹介されていますよね)。
檻越しに安全に麻酔作業をおこなうためには、ダートの出来がとても重要です。ダートから薬剤が漏れてしまったり、吹き筒にダートが引っ掛かって軌道が変わってしまったり…、そうしたトラブルを防止するため、ダートをひとつひとつ丁寧に作成します。
このダートのポイントはなんといっても毛糸です!!!ダートの先についているふさふさの毛糸はかわいい飾りではありません。実は重要な役割を担っています!
○ふさふさ毛糸の役割①
ダートを安定させて飛ばすためにこのふさふさの毛糸は不可欠です。毛糸がないダートはまっすぐ飛びません。ダートをまっすぐ安定させて飛ばすために、は毛糸を程よいふさふさ加減でつける必要があります。
○ふさふさ毛糸の役割②
蛍光色の毛糸は野外で目立ちます。毛糸がついていると、ダートがヒグマの体のどこに命中したのか一目瞭然です。また、薬の種類によって毛糸の色を変えることで、どのダートに何の薬剤が入っているか簡単に判別することができます。
今回のインターン中にダートを実際に使用することはなさそうですが、自分の作ったダートが使わる場面を想像しつつ楽しくダートを作成しています。
インターン期間はそろそろ終わりですが、最後まで色々なことを学び、吸収したいと思います!
(インターン中島)