食べ物やゴミで詰まる野生動物とヒトの間、その危うさ
国立公園内の道路に点々と落ちていたおむすび。。。
6月野外実習中の大学生が見つけ、写真を撮影して届けてくれました。はっきりしたことはわかりませんが、道路際にいたキタキツネか何か野生動物に、通りがかった人が車の窓からおむすびを投げ与えようとしたのではないかと思います。この他にも菓子パンや果物などの投棄、あるいは餌やりを疑わせる事例がこの夏も散発的には発生しています。
左の写真はおむすびが見つかったのと同じ道路で9月6日に撮影された写真です。車は無人ですが、助手席側の窓を覗き込んでいます。このクマはなぜか無人の車にとても興味を持っていました。車から何らかの食べ物を投げ与えられた経験を過去にしているのではないかと、私たちは心配しています。クマにとってメリットのある経験がなければ、自ら積極的に車に接近するとは考えづらいからです。もちろん、決定的な証拠があるわけではなく、推測の域を脱しません。
今知床では観光協会のみなさんが中心になってヒグマなど野生動物への餌やり禁止のキャンペーンが行われています。もちろん知床財団も参画しています。このような観光関係者から行政機関までオール知床での取り組みは初めてで、画期的なことだと思います。
一方でゴミの投棄や餌やりが後を絶たないのも事実で、現場は危機感を募らせています。ゴミを捨てたり餌をやった当事者ではなく、それから後に知床を訪れる人々、知床に住む人々が危険な目に遭う恐れがあります。また餌をもらったことで人の存在と食べ物が結びついてしまった動物は多くの場合、その後悲劇的な結末を迎えることとなります。
キャンペーンはまだ始まったばかり、そう簡単に解決する問題でもないことは事実です。これからもオール知床での息の長い活動が必要で、我々知床財団も覚悟を決めて取り組まなければと気を引き締めているところです。(事務局長 増田 泰)