絶景地区の防風柵を補修しました
実施日:10月下旬~11月上旬
知床五湖の高架木道からオホーツク海に向かって、左奥に見える木造建築物をご覧になったことはありますか?
これは、知床連山から吹き下ろす強い風と雪を受け止める防風柵です。風に叩かれ、苗木がなかなか育たない場所に設置します。積雪期、防風柵の前後にできる雪の吹きだまりが「ふとん」となって、苗木は厳しい風雪から守られます。
ここに木々が育つことで、それが自然の防風林となり風を受け止めていく。そんな未来の森の第一歩を踏み出す手助けを森づくりでは行っています。
一年を通して強い風が吹き下ろす草地へは、ただ木を植えてもなかなか育ちません。特に冬は地表の雪が吹き飛ばされて木が風雪にさらされ枯れてしまいます。また、雪が少ないことからエゾシカが集まって餌場となり、木が踏みつけられてしまいます。そこで、風の強い草地で木を育てるために風を止め、雪をためる防風柵を2002年(平成14年)に6基設置し、エゾシカに食べられにくい針葉樹の苗を植えました。強風を止めて木を生長させるために、「防風柵」を現在までに10基設置しています。
風雪のよって壊れた柵は、地道に補修していきます。ここは、通称「絶景地区」。その名の通り、壮大な風景が広がります。穴を掘り、板を打ち付ける手を時折休めては、知床連山やオホーツク海を眺めることができます。ここは、過酷な作業場のひとつであるとともに最高の風景を見ることができる作業場でもあります。
これからも防風柵の高さや間隔などについて試行錯誤が続きます。知床の厳しく複雑な自然の条件についてひとつひとつを学びながら、かつての原生の森の復元に向けた取り組みを進めていきたいと思います。