ヒグマのGPS首輪を回収しました!
知床財団ではヒグマの行動を調査するため、GPS首輪(衛星で場所を計測して記録する装置)をつけています。この装置によってヒグマがどのエリアをどの時期に利用しているかなど、詳しい行動を知ることができます。
しかしGPS首輪は時々、首からすっぽ抜けたりベルトが千切れたりしてヒグマから外れてしまうことがあり、その際は落ちた場所に行って回収しなければなりません。運が良ければ道路に近い場所で回収できますが、アプローチが難しい高山帯に落ちてしまう場合もあります。そんな時は登山装備で回収に行く必要があります。
今回は、2013年にメス成獣ヒグマに装着したGPS首輪の回収を行いました。この首輪は1年足らずでヒグマから外れてしまい、位置情報から知床連山の標高1000m辺りの山中に落ちていると考えられました。もちろん道路などはなく、沢を登ったり藪をこいだりして近づかなければいけませんでした。
ササやハイマツの藪を進むこと数時間後、標高990mのササ藪の斜面でGPS首輪を発見しましたが、首輪はなんと大きな横穴の中に落ちていました。これはヒグマが冬眠するために掘った穴で、入口は狭いですが中は人間が中腰で立てるほど広く掘ってありました。
どうやら首輪は冬眠中に外れてしまったようです。このメスヒグマはこんな標高の高い場所で冬を越していたのですね。道なき道を登る回収作業は非常に大変でしたが、ヒグマの生態を垣間見ることができ、貴重な調査となりました。
(担当:能勢)