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活動ブログ

ヒグマのGPS首輪を回収しました!~その2~

前回の活動ブログでは、冬眠穴の首輪を回収するまでの道のりを紹介しました。
(前回の記事はこちら ヒグマのGPS首輪を回収しました! )
今回はその続き、首輪のデータから判明したことをご紹介したいと思います。

13B-03F1Y1_DenpunTrap_130623 (79)P1090944

左は装着時(2013年6月)、右は回収時(2014年7月)の首輪です。
7か月間にわたりクマの行動を記録した首輪は泥まみれ&傷だらけです。
今回はベルトの木綿部分が切れてクマの首から脱落しました。
知床財団では、首輪が一定期間後にヒグマの首から脱落するよう、ベルトの一部を木綿布(柔道着の帯のようなもの)に交換しています。かなりアバウトな方法ですが、ヒグマの場合は木綿布1枚で約1年、2枚で約1~2年後に脱落します。

 P1090949P1090951

水洗いして汚れを落とした後、PCと接続するため首輪を分解します。
その後、PCと首輪を専用ケーブルで接続し、データをPCにダウンロードします。
今回、首輪には1万ポイントを超える位置情報が蓄積されていました。

 

今回、 得られたデータから次のことがわかりました。
・このクマ(個体ID : 13B03)の行動圏は約30平方キロ(標準的なメス成獣の行動範囲とほぼ同じ)、海岸近くの低標高帯から知床連山の稜線まで、季節に応じて標高を変えながらダイナミックに生活していること。
・13B03が越冬地に移動したのは11月14日、冬眠を開始したのは11月21日であること。
・11月21日から12月11日にかけて、冬眠穴をすくなくとも10回は出入りしていること(越冬穴から出ていたのは最大でも4時間)。越冬穴の出入りは12月11日が最後でした。
・クマから首輪が脱落したのは1月7日から14日であること。

ヒグマ(個体ID:13B03)の行動圏を示した図です。1点1点がヒグマのいた場所を示しています。 おおよそ岩尾別川からイダシュベツ川までを行動範囲にしていることがわかります。

ヒグマ(個体ID:13B03)の行動圏を示した図です。1点1点がヒグマのいた場所を示しています。
おおよそ岩尾別川からイダシュベツ川までを行動範囲にしていることがわかります。

 

 11月下旬は冬眠開始の時期としてはやや早めです。単独のヒグマの標準的な冬眠開始の時期は12月頃です。近年は、雪が積もるなか年末ぎりぎりまで野外で行動しているヒグマもいます。

首輪をつけていたこのメスのヒグマ、越冬穴に入ったもののなかなか寝付けずに穴から出たり入ったりを繰り返していたのでしょうか?思ったよりも早く冬眠穴の準備が完了してしまい、時間調整をしていたのでしょうか??実際の理由はクマに聞いてみないとわかりません。

ヒグマの行動を調べると毎回新しい発見や驚きがあります。
今回の調査では、冬眠穴に入る直前のヒグマの行動の一端をうかがい知ることができました。

今回のような調査活動を通じ、今後もヒグマの行動をひとつひとつ明らかにしていきたいと思います。

(担当:かさい)

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