ロシア極東でカワウソの生息環境調査に参加してきました
2014年9月13日から同23日までの11日間、ロシア極東の沿海地方とハバロフスク地方で実施された、ユーラシアカワウソ(ニホンカワウソと同一種)の生息環境調査などに調査助手として参加してきました。
私自身はカワウソなどイタチ類の専門家ではないため、海岸や、森の中を流れる河川でカワウソ調査の手伝いをしつつも、岩礁に多数上陸しているゴマフアザラシや、広大な森の中のシカ類やクマ類の低密度ぶり、林床に広葉樹の稚樹や幼木が豊富にあることなど、カワウソ以外の自然の方にも、ついつい目うつりしてしまっていました。
私がよそ見して観察していたロシア極東の自然については、先ずは近隣の方に向けて、ウトロの自然教育研修所で来週11月19日(水)の夜に開催される「知床ゼミ」で、詳しく紹介したいと考えています。
ところで、なぜ知床財団の職員がカワウソ調査に参加したのか?
理由は下記のとおりです。
知床財団が森作りの実務を担っている、斜里町の「しれとこ100平方メートル運動」では、開拓跡地を原生林に戻そうという森林再生活動の他、知床で既に絶滅してしまった動物を含めた、地域本来の野生生物群集と自然生態系の循環の再生も長期的には目指しています。
そのため、なん十年先になるかはわかりませんが、絶滅したカワウソをサハリンなどから知床に再導入する可能性も視野に入れ、様々な予備的検討を行っているのです。
知床がカワウソの生息地として適しているのか、あるいはどのような環境を復元すればカワウソの生息が可能になるのかなどを把握するため、現在もカワウソが豊富に生息しているロシア極東の河川や海岸の環境を調べることが、今回の調査の主な目的でした。
なお、カワウソ生息環境調査の結果の詳細については、今回の調査の隊長であるイタチ類専門家の村上学芸員(斜里町立知床博物館)から、哺乳類学会や博物館講座などで報告されると思います。
(担当:石名坂)
本調査は、ダイキン工業株式会社様からの支援による「カツラの森、命あふれる川の復元事業」の一部として行われました。