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2014今年のクマ事情

 今年も残りわずかとなりましたが、簡単に今年の状況をまとめてみました。あくまでも集計途中の速報値ですので、傾向としてとらえていただければと思います。ちなみに一昨日(12月25日)夜、職員が帰宅途中に知床自然センター近くの道路上でクマを目撃しています。
 まだ冬眠していないクマもいますので、野外活動の際は注意してください。

斜里町月別ヒグマ対応件数

斜里町月別ヒグマ目撃件数


羅臼町月別ヒグマ対応件数

羅臼町ヒグマ目撃件数


 今年の斜里町羅臼町のヒグマ対応件数と目撃件数を月別に比較しました。今年は初夏までは例年と同様に推移しましたが、夏以降平穏な状況が続き、秋以降も大きな変化はなくそのままシーズンを終えました(紫色が今年です)。昨年斜里町では国立公園内のイワウベツ川でマスを狙う特定の若グマと、そのクマを狙うカメラマンで混乱、対応件数も9、10月と多くなりました。しかし、今年は両町ともに秋のサケマス遡上シーズンの河口や河川沿いでの目撃、対応が極めて少なく、平穏でした。これはサケマスの遡上が少なかったこと、8月のハイマツ、9月以降のミズナラをはじめ、液果、堅果問わず木の実の類が軒並み豊作だったことで、そちらにクマたちがシフトしたことが影響しているのではないかと思われます。自然情報でもドングリの大豊作が話題になりました。今年同様にカラフトマスの遡上が遅れ、遡上数も少なかった一昨年(2012年赤色)はハイマツの不作なども重なったこともあってか、特に7月後半から9月にかけて大量出没となり、餓死したクマも発見されました。グラフを見ても一昨年がいかに特異な年であったかが、わかると思います。
 サケマスの遡上時期や遡上数、木の実の豊凶などが出没状況に影響することは間違いありませんが、サケマスだけ、ドングリだけの豊凶を見てわかるほど単純ではないようです。複雑にいろいろな条件が絡み合っている気がします。正直言って今年の秋は少し戸惑いを覚えるぐらい、極めて平穏でした。確かに今年ドングリは大豊作でしたが、本当にそれだけを理由にしていいものなのかとも思ってしまいます。ちょっと不気味なぐらい平穏でした。

 また今年は例年と比較して、0歳連れの親子をよく見かけました。これは推測にすぎませんが、夏の食糧事情が厳しかった一昨年(2012年)に子を失ったメスが多く、昨年の発情期に発情、受胎したメスが多かったのかもしれません。無事に育っていれば、来年は親から離れた1歳子たちが多くみられることになります。彼らがおとなしくしていてくれるか・・・、少しそれが今から心配です。
 2015年は今年よりもさらに、平穏な年でありますように。人にとってもクマにとってもよい年でありますように・・・(増田)。

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