2015今年のクマ事情(7月末現在)
今年のヒグマの出没状況について、7月末現在の速報値をお知らせします。 傾向を速報するため暫定集計値です。ご了承ください。また斜里町と羅臼町では集計方法が若干異なるため、単純に両町を比較することはできません。各町毎に経年比較していただければと思います。
春先は例年並みの目撃件数でしたが、斜里町内では6月下旬以降、羅臼町では7月に入ってから、急増しました。特に7月は両町ともに昨年と比べ、2倍以上の目撃件数となっています。7月までの推移は餓死個体が見られた2012年の大量出没年を彷彿とさせます。例年は8月になると沈静化しますが、2012年は8月になっても収まりませんでした。8月の動向が注目されるところです。
今年の特徴の一つは特定の親子グマに起因する遭遇事例が多発していることです。いずれも人や車を気にせず、遊歩道や車道に子連れで出没しています。知床峠付近の知床横断道路上では1歳2頭連れの親子が出没し、羅臼湖へのトレッカーやサイクリストが至近距離で遭遇したり、威嚇突進されるなどの事例がありました。移動速度の速い自転車やバイクは突発的な至近距離での遭遇の恐れが徒歩に比べて高い上、自動車に比べて無防備です。ヒグマを目撃した場合、無理に通過しようとしないこと、特に自転車の場合、あわてて逃げ切ろうと思わずに、ゆっくり後退してください(→ヒグマ対処法)。羅臼湖へのアクセスについては路線バス利用という選択もあります。
また斜里町側の国立公園内では知床自然センター周辺、フレペの滝遊歩道では0歳2頭連れと1歳2頭連れの2組の親子が毎日のように出没、フレペの滝遊歩道の閉鎖が続き、この状況は8月7日現在も変わっていません。1歳2頭連れ母グマのほうは停車した車に手をかけたところを撮影され、大きく報道されました。これら親子に限らず、国立公園内では車両に威嚇突進する事例が今年は複数確認されており、懸念材料の一つです。道路際での出没はかつて亜成獣や単独メス成獣が主でしたが、子連れ親子の出没も多くなっています。親子の場合、子が親と反対側の道路際に取り残された状態で、その間に車が停車すると、人が気付かないうちに親子を分断し、クマをいら立たせてしまい、威嚇突進を誘発する場合があります。クマ渋滞に起因する交通事故も発生しています。クマを道路際で見かけても、停車せずにゆっくり、静かに、速やかに移動してください。
また羅臼町側では、7月に入り民家周辺への出没が相次ぎました。7月の目撃数は2012年の大量出没年を上回っています。夜間民家周囲に出没し、外に置いてあったゴミ箱が荒らされるといった事例も発生しました。山と海に挟まれた海岸線沿いのわずかな平坦地に住宅が立ち並ぶ羅臼町では、ヒグマの生息域とヒトの生活圏が面で接しているため、油断できません。2012年は8月に民家周辺への出没が頻発し、対応に苦慮しました。住民のみならず観光客のみなさまにも、ゴミの管理はもちろんのこと、ヒグマの食べ物となりうるあらゆるものの管理徹底をあらためてお願いします。