第19回 森づくりワークキャンプ実施報告
期間:2015年10月30日(金)~11月4日(水)
幾度かの大嵐で多くの木々は葉を落とし、見通しのきく林となりました。知床の晩秋を彩るカラマツの柔らかい黄葉も色鮮やかになってきました。
今年で19回目を迎える「森づくりワークキャンプ」。
今年は、長年ご参加くださっている方をはじめ、初めての方など計14名の方々が、道内各地および遠く九州・関西・関東方面からお越しくださいました。
作業初日は、運動地の「苗畑」で種から育て、数回の「床替え」を繰り返し、養生してきた大型の苗を掘り取る作業です。
苗の大きさから掘り取る大きさを決めます。掘り取る人が溝に入って作業しなければならないため、大きな穴を掘る必要があり、なかなかの重労働です。
その一方で、根の周りの土は乱暴に扱うと移植時に崩れたり、根を傷つけてしまうため丁寧に扱わなければなりません。
そのため、根をスパッと切れるように、使用する剣先スコップは事前によく研いでいます。「人の力でできないことを道具にやってもらう。」森の番人による、道具の使い方のレクチャーに、皆ふむふむ納得。しかし、実際はなかなかうまくいきません。
苦戦しながらも、ベテランさん、新人さんがペアとなり、一つ一つ掘り取りました。
最高気温5℃!とても寒い一日でした。
作業2日目は、掘り取った大型苗を運動地内のアカエゾマツの植林地の一部を切り開いて作った空間に移植しました。
シカ柵外に植え込むため、樹皮保護ネットを巻いてから移植します。
樹皮保護ネットは、冬季の積雪量を考慮し、高さ3.5m以上まで巻いています。
しばらくの間、植樹した大型苗には支えが必要です。
そのため、植樹した大型苗の周りに支柱を立てたり、結束する作業も行いました。緩まず、しっかりと結束するには、単に力技ではできません。縄の方向にもコツがあるようです。
今回、苗畑から掘り取り、柵外へ植え込んだ大型苗はハルニレやミズナラなどの広葉樹9本。アカエゾマツの針葉樹の林の中に、広葉樹の小さな林が出来上がりました。これは、私たちが目指している針広混交林への小さな一歩です。
残りの作業日は、開拓当時に共同放牧地として利用されていた場所に設置しているシカ柵の補修を行いました。
長年、強い風や雪によりさらされ、老朽化が進んできたことから、今回は柱の立て直しやはがれたフェンスの打ち直しのほか、近年の大雪にも対応できるように柵のかさ上げ作業も行いました。
おかげさまで、予定していた作業の概ねを完了することができました。ご参加くださった皆さん、本当にありがとうございました。
秋の晴れ間に見えた、頂を白く冠した知床連山。美しくも厳しい自然を感じながら、作業後は、恒例のミニトレッキングに行きました。
皆さんの目に知床の自然はどのように映っているのでしょうか?他地域の方々との交流は、自らを振り返るとても良い機会にもなっています。
十数年苗畑で育てた大きな苗。
「人がずっと手をかけずとも、生きていける力を付けさせる。」知床の厳しい自然の中で、たくましく生きていける木を育て、森を作っていく。
森の番人の言葉には、遠い未来を見据えた森づくりへの深い想いが込められています。
(担当:喜内)
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<ボランティアさんからのひと言>
・さらに若い人の参加が望まれます。(三重県 60代 男性 M・Yさん)
・今回、友人に誘われての初参加でした。60代でも参加できるボランティアがあるのはうれしい事です。ただ 、お役に立てなかったのでは・・・と心残りです。みなさん、とてもフレンドリーで楽しい思い出となりまし た。ありがとうございました。(大分県 60代 女性 K・Kさん)
・いろいろな季節に訪れると、同じ景色はひとつもなく何とも言えない気分が味わえますヨ。(札幌市 60代 男性 M・Kさん)
・体力的には年の割に元気だと言われますが、今回のキャンプはほぼ限界でした。しかし、知床の森に1本のミズナラ を植えるお手伝いができた幸福感は、私の宝物になりました。(札幌市 70代 男性 Y・Fさん)
・4日間お天気に恵まれました。これは奇跡です。楽しい仲間とおいしいお酒を飲みました。新しい参加者と の出会いもありました。そして、森林再生にちょっぴり貢献しました。満足満足。筋肉痛さえ心地いい。では また来年。(大阪府 60代 男性 H・Oさん)
・今回初めての参加でしたが、とても勉強になった5日間でした。自然とは何か、自然保護とは何かという私 が探し求めていた命題のヒントをこのワークキャンプからいただきました。森の番人をはじめ、知床財団の皆 様、先輩方には大変お世話になりました。また来年も来たいと思える充実の5日間をありがとうございました 。また来ます。(埼玉県 20代 男性 S・Kさん)
・ここ何年か連続で参加していましたが、昨年都合により参加できませんでした。1年おいて作業してみると 何か新鮮な感じがしました。以前に比べ、身体が思うように動かなくなってきましたが、今後とも参加したいと思っています。(神奈川県 60代 男性 M・Wさん)