来年に向けて
2015年も残りわずかとなりました。1年を振り返ろうと思いましたが、齢のせいか、もう1年前の記憶も断片的というか、思い出せないので、その断片の中から、ちょっと思い返してみようと思います。
ヒグマ対応では2012年に次ぐ、目撃・対応件数を記録、その対応に追われました。公園管理では知床岬など先端部地区の利用のルールを定めた知床半島先端部地区利用の心得の見直しが始まりました。野生動物を含む自然環境を資源と考えるなら、その保全と利用のバランスをどのように取っていくかが今大きなテーマとなっています。その上で地域に暮す皆さんや知床を訪れる皆さんに対し、今何がおきていて、何が問題となっているのか、何をしなければいけないか、実現したいのか、客観的事実や私たちの思いを伝え、実現することに試行錯誤した1年でした。深く反省しなければならないところですが、特に伝えることに関して、私たちはまだまだ工夫や努力が足りないと感じています。多くの人の共感を得られなければ、独りよがりな思いでしかないですから。
今年は知床の世界自然遺産登録から10年の節目の年でした。2005年の登録から、その保全のための体制が整備され、その中で知床財団も現場に携わる立場として、さまざまな分野で関わってきました。この10年の間に、変わったこともあれば、変わっていないこともあります。どちらかというと、自然環境よりも、社会情勢、つまり人に関する部分のほうが変化が大きかったような気がします。
現在、知床財団は世界自然遺産登録地を抱える羅臼・斜里の2町に展開していますが、10年前羅臼町にはまだ展開していませんでした。知床財団が文字通り、知床全体に関わるようになったのは遺産登録後のことです。知床財団という名に恥じない働きをしているかというと、まだまだ至らない点が多々あります。そういった意味では次の10年、真の意味で「知床の財団」として、地域に根差し、世界自然遺産である知床を深く知り、守り、伝えるという使命を果たすことができるか、問われることになるかと思います。その重さをしっかりと受け止め、前進していきたいと思います。
事務局長 増田 泰