エゾシカ航空カウント調査に参加しました。
3月に入り、晴天の日が続いています。
気温がプラスになる日が続き、春が待ち遠しくなる今日この頃です。
知床財団では環境省からの受託業務として、2月27日~3月12日の期間にエゾシカ航空カウント調査を行いました。
これは知床の世界遺産地域で越冬するエゾシカをヘリコプターからカウントし、世界遺産地域におけるエゾシカの生息状況を把握することを目的としています。遺産地域の沿岸部分が主な調査地域で、毎年2月後半
から3月上旬にかけて数回の航空カウント調査が実施
されています。
「シカをカウントしつつ、流氷と知床半島の断崖絶壁が織りなす美しい風景を上空から満喫できる・・・」と思いきや、航空カウントはかなり過酷な業務です。シカをカウントするためにヘリコプターは谷筋や尾根筋を舐めるように飛行しますし、風が吹けば機体は急に上下して体が浮きます。一度離陸したら2時間以上帰ってこれない場合もあり、乗り物酔いをしやすいスタッフにとってはまさに「試練」のような業務です。
去る2月27日、私(財団職員:森)は初めて航空カウ
ント調査に、記録係として参加しました。その日の調
査は、知床岬とその周辺地域が調査地域です。
乗り物に弱い私は、先輩からの様々なアドバイス(主に、酷く乗り物酔いをした「万が一」の場合はどうするのかについて)を頂き、「万が一」に備えビニール袋を握りしめてヘリコプターに乗り込みました。
ヘリコプターが町の上空へ飛び立つと、知床半島に押し寄せる流氷を一望できました。どこまでも海を埋め尽くす流氷と抜けるような空のコントラストは、ため息がでるような美しさです。
風景に感動しているのも束の間、離陸して20分経つころにはフラフラと揺れるようなヘリコプターの飛行に
私はすっかり乗り物酔いとなっており、カウント調査
が始まってヘリコプターが旋回や上昇・下降を繰り返
し始めた頃には最初の「万が一」に襲われていました。
何度「万が一」が襲って来ようとも調査員(記録係)
としての任務を全うせねばなりません。私と同じよ
うに乗り物酔いに耐えていたカウント係にシンパシ
ーを感じながら、私は記録用紙にペンを走らせてい
ました。
毎年、スタッフが体を張って挑んでいるエゾシカの
航空カウント調査。大変な調査でしたが、エゾシカ
が厳冬の知床で生き延びている姿を目の当たりにし、
知床の自然とどのように向き合っていけば良いのか
考えさせられる機会でもありました。
(担当:森 脩)