雑誌「モーリー」50号に記事が載りました
(公財) 北海道新聞野生生物基金が発行している自然系の雑誌「モーリー」の50号に、私たちが書いたヒグマに関する記事が掲載されました。
「知床半島のヒグマの現状 ~国立公園内で進む人なれと分散先で死んでいくクマたち~」、「クマと人を守るためのルール ~デナリ国立公園に学ぶ~」というタイトルで、合計6ページにわたって写真入りで掲載されています。
知床国立公園内やその周辺では、車から降りてヒグマに自ら接近して撮影する人々が、近年多数見受けられます。それがどういう結末につながるのか?遺伝子分析の結果、明らかになってきた知床の残酷な現実を書かせていただきました。
ヒグマの写真を撮りたい皆さんには、接近撮影が被写体となったヒグマの寿命を縮めることを是非とも理解していただきたい。ヒグマを見ても車から降りない、徒歩の状態でヒグマに出会っても自分から近づかない、最低でも50m以上の距離をとる、といった点を「ヒグマのために」守っていただきたいと思います。
また、記事の中でも書きましたが、生ごみや魚の不法投棄・屋外放置は、通常より数段階危険な餌付けグマを作り出すきっかけとなるので禁忌です。しかし、今日も知床半島の各地で、一部のサケ・マス釣り人が釣り場(河口)で魚をさばき、頭や内臓、余った餌を、せっせと川や海の中に捨てています。
釣り場の残滓に餌付いたヒグマはいずれ、狩猟や駆除の枠組み内で殺されることでしょう。しかし、悪いのはヒグマなのでしょうか?ヒグマの生息地であることを誰もが知っているはずの知床半島で、30年前と同じ行動や言動を繰り返す釣り人の方に、はたして問題は無いのでしょうか?
カメラマンにせよ、釣り人にせよ、人間の問題行動をコントロールできない現在の知床のシステム。半島の先端側半分が世界遺産や国立公園であること以前に、こんなにもお粗末な観光地のままで、はたして良いのでしょうか?
(担当:石名坂)