ミンクの叫び
今年の9月14日に斜里町の弁財覆道近くの道路上で、何やら黒い動物の交通事故死体を見つけました。
最初は黒いネコかと思いましたが、よく見てみると胴が長くて足が短く耳が小さい。
これはアメリカミンクというイタチ科の動物です。
アメリカミンクはもともと北アメリカに生息する野生動物ですが、現在は日本に広く生息する外来生物です。1950年代頃、毛皮の生産のため輸入され養殖されていたミンクが野外に逃げ、それが繁殖して広がったと考えられています。
アメリカミンクは繁殖力が強く在来種に強く悪影響を及ぼすため、特定外来生物に指定されています。水中での活動が得意で泳いで魚を捕食することができ、川や湖でよく目撃されています。
知床半島にもアメリカミンクは生息しており、世界自然遺産地域の知床五湖でも近年、目撃が増えています。自然ガイドの方に協力していただき目撃情報を集めていますが、2017年は6件、2018年は23件の目撃が五湖の地上遊歩道内でありました。さらに2018年は子連れの情報が2件あり、繁殖していることが明らかになっています。
アメリカミンク自体に悪意はなく、他の生き物と同じようにただ生きようとしているだけの存在です。それは他の外来生物であるアライグマやマングース、キョン、ヌートリアなども同じです。人の都合で持ち込まれ、人の都合で野に放され、やはり人の都合で殺されます。
外来生物の問題はしばしば動物福祉や動物愛護の観点から意見がぶつかり対立します。奄美のノネコ問題が良い例ですが、生き物の生死を扱う以上、見解の相違と議論は避けられないでしょう。外来生物だから殺してもよいと短絡的に考えるのではなく、なぜその動物が外来生物になってしまったのか、その原因と背景を考える必要があります。
そして何より大事なのは、同じ事を繰り返さないことです。
(担当:能勢)