岩尾別川の状況
9月に入り、岩尾別川にヒグマが出没するようになりました。
そのヒグマの撮影をしようとする観光客やカメラマンによる、いわゆる「ヒグマ渋滞」が発生しています。
時には、道路両側に車を停めたり、急カーブに車を停めるなど、危険な状況も発生しています。
このヒグマ渋滞は、以前から発生しており、過去の活動ブログでもその状況を発信しています。
知床財団のTwitterアカウント「@bear_shiretoko」にも、今年の9月中旬に発生した岩尾別での混雑状況、人間の子どもが車に轢かれそうになった時の動画を投稿しました。最近では、マスコミにも報道されたためTVやネットニュースで目にした方もいるでしょう。
知床白書によると、2016年度には年間約173万人が知床(斜里町+羅臼町)に訪れています。
このすべての人達に「ヒグマに接近しない」「エサを与えない」というルールを順守してもらうことを目標に、普及啓発活動を継続して実施してきました。
我々としても、せっかく世界遺産知床に来たのですからヒグマを見て、その生き物がもつ力強さ、命の尊さをここ知床で感じてほしいと思っています。
ですが、既にお願いベースのやり方では限界が来ています。
今後、我々に求められるのは、ヒグマを安全に見ることができる仕組みを作ることです。
この仕組みとして、例えばアクセスコントロールが考えられます。
ヒグマの核心的生息地の手前で、マイカーやレンタカーからシャトルバスへ完全に乗り換えるシステムなど。。。
知床が世界に誇れる場所であり続けるために、地域の皆さまや道路管理者、北海道庁、環境省等の行政機関等と協力して、この問題に対する解決方法を導き出していきたいと思います。
最後に、
勘違いしている方もいますが、我々はヒグマの撮影をしようとする観光客やカメラマンが悪者だとは思っていません。
誰かを悪者にしたところで、何の進展もありません。
誰も悪者にしない、安全に利用できる世界遺産あるいは国立公園の利用システムを目指していきます。
(担当 村上)