不法投棄が絶えぬ世界遺産
知床は原生的な自然が色濃く残っており、多くの野生動物が生息する場所です。
国立公園内の道路脇でヒグマを目撃することも、珍しくありません。
そんな場所でも、今年度に入ってからゴミの不法投棄が3件確認されています。
(1)2020年4月16日 国立公園内 幌別地区 見晴橋の下
回収物:みかん約50個、シャンプーの容器、建築資材等
(2)2020年4月29日 国立公園外隣接地 幌別橋のたもと
回収物:もやし、キャベツ、空き缶、掃除機、電気髭剃り、食品トレー等
(3)2020年5月1日 国立公園内 幌別地区 見晴橋の下
回収物:タイヤ、建設資材、衣服洗剤、中身の入ったジュースの瓶、弁当の空箱等
集めたゴミを確認すると、地元の人が捨てたと思われるゴミとビジターが捨てたと思われるゴミの両方が混在している状況でした。
前段でも述べたように、ヒグマをはじめとする野生動物と人との距離が近いがゆえに、ゴミの投棄だけの問題ではなく、野生動物との軋轢(問題)が発生します。
私たち知床財団は、軋轢を解消するために、情報発信や利用者への指導啓発を行っています。
ですが、実際に不法投棄する現場を目撃するケースは無く、本人に指導できたケースはありません。
改めて、皆様にお願いです。
食べ物を含めたゴミの投棄は絶対にしないでください。
特に知床では、人為的な食べ物を口にした野生動物が駆除または交通事故等により命を絶たれるケースが発生しています。
2020年4月18日には、見晴橋の近くで、ビニールが入ったヒグマの糞が確認されています。
そもそも不法投棄自体は、知床に限らず、社会一般的にやってはいけない事(犯罪)です。
そして、今は閑散としていますが、例年なら遠方から多くの方々が知床に訪れます。
その方々に、ゴミにまみれた世界遺産を見せるのではなく、本当に訪れて良かったと思っていただけるような、本来の知床を見てほしいと、私たちは願っています。
地域の皆様、ビジターの皆様、ゴミはきちんと処理してください。
蓄積されたゴミは後世に残ります。
私たちの子孫に残すものがそれでいいわけがありません。
今後もゴミの不法投棄が無くなるまで、情報発信を続けていきます。
皆様にも、ご支援・ご声援をお願いいたします。
追記です(5月6日)。
5月5日、ビニール袋をくわえたコグマが幌別駐車帯近くで確認されました。
この場所は先日もゴミを回収した場所でした。
例年ゴミの多い場所ですが、今年は利用者が少ないにもかかわらず、ゴミの投棄が目立ちます。
おそらく、コロナウィルスの影響により、近隣のコンビニエンスストアのゴミ箱が撤去されており、また飲食店や道の駅等の各施設も閉鎖されているため、ゴミの投棄が増えているのではないかと思われます。
皆様、どうか どうか ゴミは責任を持って必ず持ち帰ってください。
人のゴミが原因で野生動物が不幸な道(駆除または交通事故等により死亡)をたどるのは、絶対に避けたいのです。
心からのお願いです。
※このビニール袋はヒグマ対策員が回収しています。
(知床財団 村上)
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