2020年もヒグマの野外調査を実施しています
2020年の春からは、新型コロナウイルス感染拡大防止のために多方面で影響が続いていますが、知床財団のヒグマ調査チームは昨年に引き続き、環境研究総合推進費を活用した現地調査を5月下旬に開始しました。調査は10月末までの予定で、知床半島の斜里町、羅臼町、標津町にまたがって設定された、67基(昨年から4基増設)のヘアトラップサイト、ヒグマの糞を探すための22のルートを2週間に一度の頻度で巡回を重ねていきます。
2019年のヘアトラップ調査では、7,034サンプルのヒグマの体毛を収集し、ヒグマ糞は855サンプルも発見しました。北海道大学で行われているDNA解析の結果合計350頭(オス150頭、メス200頭)のヒグマが検出され、今まで把握できなかった個体が多く確認されました。また、回収されたヒグマ糞から半島内でも食性に地域差がみられることがわかってきました。今年度も昨年に引き続き調査を継続することで、さらなる研究成果が期待されます。
事務所ではいつのまにか「ヘアトラ隊」という通称ができました。ほぼ毎日、2人一組の調査員がサンプル集めに知床半島の各所に出かけています。すでに調査も折り返し地点を迎えそうです。半島各所で毛と糞を必死で集めるヘアトラ隊に2020年も応援をよろしくお願いします。
知床財団の広報紙SEEDSでも調査について特集されました↓
https://www.shiretoko.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/05/245.pdf
昨年度(2019年度)から3年間の予定で、「遺産価値向上に向けた知床半島における大型哺乳類の保全管理手法の開発」と題し、北海道立総合研究機構と北海道大学、知床財団が共同で調査・研究に取り組んでいます。実施にあたっては(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費【4-1905】を活用しています。
(清成)