【知床ヒグマ対策連絡会議より発信】知床世界自然遺産地域境界におけるヒグマの捕獲について
2020年8月24日(月)午前11時18分頃、斜里町字岩尾別(幌別川河口付近)において、推定年齢3-4歳の若いオスグマ1頭を捕殺しました。
このヒグマは7月31日に幌別川河口で釣り人の釣った魚を奪った個体(19MS01)であり(DNA分析により確定)、人に対する警戒心は極めて弱くなっていました。人の近くに行けば容易に食べ物が手に入ると学習していたものと考えられます。きわめて危険なため7月31日以降、幌別川河口を立ち入り禁止とし、経過を観察していましたが、このヒグマは日中、幌別川河口の海岸を徘徊、道路や建物近く、漁業者の作業場に出没して人に接近するなどの行動を繰り返しました。また、人が見ている目の前で係留中の漁船に乗り込むような行動も確認されました。
さらに、糞や毛などを用いたDNA分析結果から、2020年3月にフレペの滝遊歩道で、追いかけるように利用者に接近してきたヒグマと同一個体である可能性が高いことが明らかになっています。
現状で物的被害や人的被害は確認されていませんが、住宅地も近く、今後の行動改善も期待できないと判断、関係行政機関が定めた「知床半島ヒグマ管理計画」に基づき、捕獲もやむなしとの判断に至り、当該個体を8月24日に捕殺しました。
●捕獲日時:2020年8月24日 午前11時18分頃
●捕獲場所:斜里町字岩尾別(幌別川河口付近:知床世界自然遺産地域外・国立公園外・国指定鳥獣保護区内)
●捕獲に至るまでの経過:
3月31日:午前6時半頃、フレペの滝遊歩道内の十字路付近で、利用者がヒグマに(追いかけるように)接近される事案が発生(知床半島ヒグマ管理計画上の行動段階3)。
4月4日:フレペの滝遊歩道周辺をパトロール中にヒグマの毛を採取。このヒグマ(19MS01)のDNAが検出される。
7月31日:幌別川河口でヒグマが釣り人から釣った魚を奪う事案が発生(知床半島ヒグマ管理計画上の行動段階2)。こうした状況が同日に少なくとも2回確認される。現地でヒグマからDNAサンプルを採取、分析の結果、このヒグマのDNAが検出される。この事案を受けて、幌別川河口は立ち入り禁止。以後、監視と経過観察。
8月1日~10日:ヒグマは日中に幌別川河口を何度も徘徊。道路や建物近く、漁業者の作業場への出没を繰り返す。海に入って定置網に引っかかっている魚を探す、近隣で作業している漁業者に接近する、係留中の漁船の上に乗る、住宅地の方向に海岸を移動するといった行動が確認される。
8月12日:警察も含めた関係機関(環境省・斜里町役場・知床財団)で本件について協議。捕獲もやむなしと判断。
8月22日~23日:幌別川河口に2日連続でこのヒグマが出没(8月11~21日は出没なし)。
8月24日:斜里町字岩尾別(幌別川河口付近)で捕殺。
8月26日現在も幌別川河口への立ち入りは禁止となっています。再発防止策も含めた今後の方針を関係機関で協議中です。