旭山動物園『えぞひぐま館』の展示物を制作しました
今春、旭川市旭山動物園に新しくオープンした『えぞひぐま館』に知床のヒグマに関する展示にご協力させていただくことになり、知床財団と絵本作家あかしのぶこさんで展示物の制作と設置をおこないました。知床財団と旭山動物園は2011年より包括的な連携協定を結んでおり、これまでも様々なイベントの共催や展示物の作成などを継続してきました。
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「しれとこシカ絵巻」製作(2009)
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ヒグマ対策ゴミステーションの強度実験 withとんこ(2012)
しれとこヒグマ絵巻
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「しれとこヒグマ絵巻」(2022)
今回の『えぞひぐま館』展示は、そのなかでも最大規模の制作になりました。
2022年の年明けから約3ヵ月、知床財団スタッフとあかしのぶこさんが笑いあり涙ありの日々を過ごし、数々の作品を作り上げました。
メインの展示物は「しれとこヒグマ絵巻」。幅約3m、高さ約1.5mの巨大なキャンバスに知床半島を描き、そこに生きるヒグマの姿や、人間社会とのあつれき、共存のための取り組みなどを細かに描写しています。
近年では旭川や札幌といった都市部においてもヒグマの出没が大きな問題となっています。
「ヒグマと生きる」ということは、今や知床に限った問題ではありません。
大人もお子さんも楽しめるこの絵巻を通して、多くの方にヒグマとの未来について一緒に考えてもらえれば幸いです。
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あかしのぶこさんと知床財団スタッフがみんなで考えながら描いた大作です
パネル展示
「ヒグマ絵巻」のほか、ヒグマの1年間の暮らしぶりを図解したパネルや、オスのひぐまの大きさが実感できる等身大パネルも制作しています。驚くほど絵が上手な知床財団スタッフたち(通称:ものづくり精鋭部隊)による力作です。
ヒグマの冬眠穴
巨大な発泡スチロールのかたまりを削って制作した実物大の「ヒグマの冬眠穴」も渾身の労作です。調査で実際に冬眠穴に入ったことがあるスタッフの知見をもとに、なるべくリアルな冬眠穴を作りました。内部にはヒグマのツメあとや天井部分を覆う木の根っこなどの細部も再現し、生まれたての赤ちゃんグマのぬいぐるみも展示しています。
オープンのようす
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多くの来園者を迎えるヒグマの「とんこ」
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坂東園長、旭川市市長、知床財団で記念のテープカット
オープン初日には多くの来園者がいらっしゃり、新しい「えぞひぐま館」は大盛況。
知床財団の展示物もたくさんの方が真剣に見てくださいました。
知床財団と旭山動物園双方が「ヒグマとの未来を考える展示施設にしたい」という想いをもって実現したこの企画。このような素晴らしい機会をくださった旭山動物園のみなさんに感謝いたします。
みなさまにもぜひ旭山動物園に足を運んでいただきたいと思います。