イワウベツ川におけるオショロコマ調査
しれとこ100平方メートル運動地の中央部を流れるイワウベツ川。
カラフトマスやシロザケの一部が遡上し、ヒグマがその魚を食べる姿が見られる川です。
自然度が高いように見えるこの川ですが、中流部には砂防ダムがあり、ダムより上流側で暮らすオショロコマなどの魚にとっては限られた流域で生息・繁殖せざるを得ない、棲みづらい川になっています。
2023年には砂防ダムの改修工事が始まる予定となり、既に100平方メートル運動の取り組みでは支流の盤ノ川にある高さ2mのコンクリート落差工に簡易魚道を設置し、魚が行き来できるような環境改善が進められています。
砂防ダムが改修される前に、現状の生息状況を把握する調査を10月11日、26日に行いました。調査は東京農業大学の福井研究グループと知床博物館との共同で行いました。
具体的には、ダムの上下流域や支流に13カ所のモニタリングサイトを設定し、各サイトで生息しているすべての魚を捕獲し、魚種やおおまかな年齢を調べ、最終的には密度推定を行いたいと考えています。
また、盤ノ川に設置した簡易魚道を使って魚が往来しているかを調べるために、魚道より下流側で捕獲した魚は油鰭(あぶらびれ)をカットしてマーキングしました。来春以降の再調査時に、魚道上流域でマーキングされた魚がいれば魚道を使った証明となります。
捕獲には魚へのダメージを抑える為に電気ショックで一瞬動きを鈍らせて、その後麻酔をかけてサンプルを採取。麻酔から覚めて元気になったのを確認して川にかえします。
砂防ダムの下流域には産卵の終わったサケもいました。
近い将来、魚道の上流側まで魚が移動できる環境になることを期待しつつ、来年も調査は続きます。
今回の魚類調査に係る費用は、ふるさとチョイスガバメントクラウドファンディングの寄付金を使わせていただきました。ご支援いただいた皆様に、心より感謝を申し上げます。